死ぬかと思って

kawailab2005-02-05

こんばんわBeerです.


,病床に臥せているトコロをちょっと想像してみました.




寒い.
小康状態とはいえ,まだ油断ならない.体に悪寒が走り,動くと体が痛む.妻に体温計を持ってきてもらい,熱を計る.息子は私のベッドの傍らで,浮かない顔をしてじっとしている.
「何度ある?」私は妻に聞いた.


「しばらく寝て過ごすよ」
まぁ大丈夫だろう.目下の頭の状態にはひどく失望していたが,それを子供達に曝け出したくはない.私は常に正しくなくてはならないのだから.頭が朦朧としているのは熱のせいばかりでなく,薬の副作用も多分にあるのだろう.安静にしていれば大丈夫だ.


どのくらい眠っただろうか.目を覚ますと,ベッドの足元に息子の顔があった.いつからいたのだろう.私が眠る前に部屋から出て行ったのは間違いないのだが.
「どうした?」
「パパのことが心配で」私の目をまっすぐに見つつ息子は言った.「何か僕に出来ることある?」
「そうだな.水を10モルほどもってきてくれないか」
「10モルってことは…水の分子量は18だから…コップ一杯ぐらいだね!」
「そうだ.えらいぞ」


水をもってきたあとも,息子はなおも部屋を出て行こうとはしなかった.
「病気がうつるといけないから,もう出て行きなさい」
「でも…」息子は何かしら,自分だけの心配事を胸に秘めているようだった.そして急に,いままで抑えていた感情が溢れ出してしまったように涙を流し,噎せ返りながら言った.
「パパは死なないよね?」
「パパは死んだりするもんか.どうしてそんなことを考えるんだ?」
「だって,熱が100度あるって,ママが言ってたから」
「100度で何故死ぬことがある?」
「学校でいってたよ.熱が44度もあったら,人間は生きられないって.パパは熱が100度もあるんでしょ?」


息子は朝から一日中,私が死んでしまうということを考えていたのである.


「息子よ」私は言った.
「そんなことを考えていたのか,可哀想に.いいかい,これはマイルとキロの違いのようなものなのさ.パパは死んだりしない.我家の体温計の目盛りは華氏なんだ.華氏100度というのは,日本では,それは38度に相当するんだよ.」















う〜んとですね,ほぼヘミングウェイの「A Day's Wait」のパクリなんですが(さすがにモルどうこうは言ってませんが),書いていて馬鹿馬鹿しくなったのは僕の腕の所為か,あるいはキャスティングミスかどっちでしょうかね?


10万回のキャスティング
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